2016年の「どう旅」は岐阜。1人減り、2人での旅となる。
7/30(土)
恒例の昼前京滋出発。やはり恒例の渋滞により若干遅れるが、さしたる問題はなし。
名神を抜け、東海北陸自動車道に入ったところで、昼食を摂るため川島P.A.に立ち寄る。観覧車もある大きいP.A.で、子どもが多いなと思っていたら、8/1に鑑賞を予定しているアクア・トトぎふが設置されているところだった。近畿から意外と近い。
混雑の中、カワシマキッチンで鶏ちゃんから揚げ丼を食す。が、から揚げがいかにも冷凍モノという大変残念な出来。最後まで迷った古地鶏チャーシュー白湯麺にしといたほうがよかったかな……。まあボリュームがあったことは救いか。
その後は一路高山を目指す。飛騨清見で高速を降り、しばらく走っていると、巨大な建造物が。これが崇教真光か……とひとしきり関心した後、ミョーに人影が少ないことに気づく。月末~月初にかけ、祭事があると聞いていたんだが……。ともあれその場もすぐに過ぎ去り、高山の町に辿り着く。
少し早いが、夕食を摂るためコインパーキングに車を停める。向かうはそば屋の寿美久。昔ながらの店構えに、郷愁を覚えながら席につき、天ざるを注文。少し待って出てきたのは、細めで香りもコシも強い、いかにも手打ちといったそば。なかなかに美味い。そしてついてきた天ぷらもカラッと揚がっており、箸が進む。特に野菜の天ぷらが素晴らしい。素材がいいんだろう。そば湯もいただき満足して店を後にする。
コインパーキングへの帰りに、少し寄り道をして翌日訪問予定のキッチン飛騨の場所を確認。店は趣のある洋食屋、といった雰囲気で期待が持てそうに見えた。店主と思しき人が外に出ていたので、あまり注視できなかったんだが(笑)。
その後、翌日の朝食と焼岳登山中の昼食をコンビニで買い込み、宿泊場所の西穂高ビューロッヂに向かう。山の近くによくある素泊り上等のペンション風の宿。必要最小限のツインルームだが、清潔だし24時間入浴可能の大浴場(中浴場)があるのが嬉しい。早めに休んで翌日に備える。
7/31(日)
4:00起床。準備を整え、6:00過ぎに宿を出発し、焼岳中尾高原登山口に向かう。駐車場には数台の車。6:45頃登山開始。しばらく舗装された林道を歩いていると、木々の切れ間から荒々しい山容が覗く。あそこまで登っていくのか。
舗装路が終わると、樹林帯に入る。途中、白水の滝を眺めたりしながら、つづら折りの道を登っていく。徐々に空が明るくなってきて、ついに中尾峠に到着。――と、視界が一気にひらけ、焼岳が眼前にそそり立つ。圧倒的。これが北アルプス!(入口だけど) 低山には低山のよさがあると思ってるけど、やはり山としての「格」の違いを感じる。
急激にテンションが上がり、足取りも軽く進んでいくと、徐々に傾斜が急になり、岩場も激しくなっていく。高所恐怖症には少々つらいが、足がすくむという程でもない道を大きく回りこんで肩に出ると、北峰山頂は目の前。最後、溶岩の間を登りつめ、眼下を望むと、焼岳小屋や笠ヶ岳が見える。ガスもかかっており、北側はあまり視界がよくなかったのは残念。
ひとしきり楽しんだ後はそそくさと下山。ここまでは奇跡的に晴天に恵まれていたが、この日の天気予報はあまりよくなく、特に昼(午後3時ぐらい)からは雷雨も予想されていた。岩場を慎重に下りながら、人が少なくなったあたりで、開けた場所を見つけ、昼食。予定していたラーメンも作らず、さっとおにぎりをお腹に収め、再び下山を続ける。
中尾峠を過ぎ、樹林帯に入ってしばらくしたところでパラパラと雨が降り出す。レインウェアを取り出すほどではないが、心持ち足を早め、下山を続けていると、とうとう本格的な雨に。レインウェアを装備し、先を急ぐとさらに雨脚は強くなるが、登山口が近づくころには弱まってきた。そのまま歩き続け、駐車場まで。所要時間は約8時間、実際の歩行時間は7時間強で、コースタイム若干押し、といったところか。
とにかく山らしい山の体験ということで、楽しかったし、技術、体力をつけて、さらなる山々も見てみたいというような思いを抱かせる山でもあった。今後の参考のため、同行のAについても記載しておくと、登りの樹林帯はかなり調子がよく、早過ぎるのではないかというぐらいだったが、中尾峠以降、傾斜が急になるとペイスが落ち、下りではかなりのダメージを負っていた。前半スピードを落としたら楽だったのではないかと尋ねたが、そこを落としても後半が楽になったとは思えないし、そのなかでも傾斜によりスピードの緩急はつけていたとのこと。個人的にはもう少し抑えたほうがトータルのパフォーマンスが上がりそうに思うが、完全なオーヴァーペイスとも言えないし、それも判断かなと。なお、下りに関しては体重、技術面で改善の余地ありとの感想もあった。
下山後、しばらく車で走り、ホテルアルファーワン高山バイパスにチェックイン。シャワーを浴び、少し休んでから、キッチン飛騨に向かう。俺は気づいてなかったんだが、店のすぐ前に駐車場があることにAが気づいていたので、そちらに停め、入店。
店内の雰囲気は、外観と同じくちょっと品のある洋食屋。5割ほどの入り。予約をしていたため、奥の席に通される。メニューを吟味した結果、「お二人で食べるA-5等級飛騨牛ロース・フィレステーキセット 各200g ¥19,224」と「おまかせハム盛り合わせ 2人前 ¥1,296」を注文。
まずはサラダだが、なかなかみずみずしく、ハム盛り合わせも美味。そして、メインの飛騨牛だが、食べてびっくり。A-5なのだが、脂感が非常に少ない(口の中で溶けたりといったたぐいではない)。加えてもちろん肉は柔らかく、味もジューシィなので、実に食べやすい。お店の方いわく、他の牛種に比べ、サシが少ないのかもしれないとのことで、やはり食べやすいとの評を皆さん口にされるそうだ。おすすめしているのもサーロインだそうだが、これなら納得がいく。また、別途ステーキソースも用意されていたが、かなりこだわって焼いておられるため、そのままでも十二分に美味しい味付けとなっており、その点も嬉しい。さらにご飯は大盛りだったにもかかわらず、ちょっとおかわりをもらえたところも小さな喜び(笑)。あと少しの厚顔さと時間があれば、もう少し注文したかったところだが、腹7分目の満足で店を後にし、ホテルに戻り就寝。
8/1(月)
この日の午前中は、昨日に引き続きのレクで、アスレチック・ジップライン。ホテルで朝食を摂った後、集合場所の馬瀬美輝の里に向かう。
ひとしきり山の中を走り、着いたところは足湯のある小さな道の駅。その端にあるマウンテンライフ飛騨で受け付け。対応してくれた20代(と思われる)同郷大津市出身の女性は、タンクトップ姿でとてもいい身体。こんなところだし、クライミングやってるんだろうと当たりをつけ尋ねてみたが、外れ。それどころか、たまにアスレチックのガイドをするだけでスポーツすらやっていないらしい。ホントかぁ? 千反田えるなら「わたし、気になります!」と好奇心に任せ突っ走るところだ(笑)。
ともあれ、受け付けも終わり、車で7分ほどのアスレチック設置場所に向かうこととなったが、スタッフの弁当とハーネスも持たされる。嫌いじゃないよ、こういうユルさ(笑)。川沿いの道を走り、最後、地道をしばらく行くと、そこは森の中のアスレチック。
現地にいたのは1人の責任者と思しき日本人と、数人の外国人。なんでもここでは外国人を「奴隷」として使っているので(もちろん一流のジョークで、日本人の方も一緒に働いてる)、共通語は英語とのこと。実際のガイドについてくれたのは、ユタ州出身のアメリカ人と、ヴェネツィア出身のイタリア人。慣れない英語を使いながら、用具を装着し、いざアスレチック開始。バランスや筋力を要求されるコースを進んだり、ジップラインで飛んだりしながら徐々に高度を上げていく。最高所は地上15m。もっとも怖かったアトラクションは、2本の丸太を支えなしで渡るもの。命綱があるとはいえ、肝が冷える。ただ、最近判ってきたことだが、俺はテクノロジィへの信頼が強いらしく、きちんと安全が確保されている(ということになっている)なら、高所恐怖症もある程度押さえ込めるらしい。逆に同行のAは基本的にそういうものを信頼していないらしく、恐怖感を覚えつつの慎重な進み方になったとのことだった。
そんなコースを2時間近く遊び回り、堪能したところで終了。スタッフらに別れを告げ、馬瀬美輝の里に戻る。着替えた後、昼食を摂るため、下呂に向かう。
下呂では、「お食事処 宴蔵」にて飛騨ナットク豚トマト丼とケイチャンを注文。トマト丼は、トマトと豚なんてホンマに合うんかいなと思いながら、豚とトマトをぱくり。……思った通り、単に豚とトマト。やっぱりなと少々ガッカリしながら、温玉を崩して一緒に食べると……美味い。トマトと温玉の相性がいい。なるほど、これなら一緒にした意味がある。ケイチャンのほうは間違いのない味。甘辛いかとおもいきや、甘さはほとんどなく、俺としてはうれしい。おつまみとして最高だろう。
満足して店を出た後、祭りの準備が進む町中を歩く。すでに神輿が練り歩いたりしてて活気がある。向かったのはゆあみ屋で、お目当ては温玉ソフト。コーンフレイクにソフトクリームと温玉を載せたデザートで、よくかき混ぜて食べるとのこと。一口くちにしてみると、プリンに近い印象で、違和感はない。そもソフトクリーム自体が美味しかった。
昼食・デザートの後は宿泊場所のホテルリソル岐阜まで。走り出してしばらくするとすごい雨。大粒の雨がフロントガラスを叩き、路面からの跳ね返りと相まって前がほとんど見えない。さすがに危険を感じたため、途中、道の駅などで2回ほど休憩しつつ向かう。そのうちに弱まってきたので一安心。
ホテルに到着し、チェックインしてしばらく休んでから、夕食のため、焼肉大翔に向かう。今回は車を置き、名鉄での移動という初めての試み。電車はさほど混んでもおらず、7分ほどで新那加駅に。そこから少し歩いて辿り着いた大翔。2Fに入口がある店に入ると、ほぼ満席でびっくりしたが、3Fに案内され一安心。
ミョーに高い座敷に腰を落ち着け、適当に肉といわゆるひとつのメインであるところの各務原キムチを注文。コンロに火が着けられ、しばらくすると肉とキムチが運ばれる。肉は2人前で頼んでいたが、なかなかのヴォリューム。早速焼いて食すが、正直肉自体はそこまでの味ではない。そして、注目のキムチは……からい。それも唐辛子で辛いのではなく、塩辛い。そして酸味も少ない。酸っぱいキムチや漬物が好みの俺としては、ちょっとストライクゾーンから外れており、残念だった。今回は単品で食したが、料理によっては相性が良かったりするんだろうか……? そんなわけで、少々惜しいところもあったが、量と価格に満足しつつ、店を出て、名鉄に乗ってホテルに帰る。しかしなんだ、いまさらだが、岐阜の夜は早いな。
8/2(火)
ホテルは朝食が自慢とのことで楽しみにしていたが、その自慢に恥じず、一品一品の質がよい。飛び抜けて美味しいというものではないが、なるほどと思わせる出来だった。
この日はカルチャーの日ということで、まずはかかみがはら航空宇宙科学博物館へ。じりじりとした熱さの中、敷地内に入ると、いきなり屋外展示の飛行機がお出迎え。P-2JやYS-11など、航空機に詳しくない者でも知っている/聞いたことのある機体が並び、一部は機内にも入れる。ファンには垂涎だろうとためつすがめつしながら、館内へ。
館内にももちろん多数の飛行機。と同時に日本の航空産業の発祥地としての各務原の沿革も展示されている。加えてシミュレイターなども数多くあったり、コックピットへの搭乗体験もあったり、宇宙開発に関する展示まであったりと、なかなか盛りだくさん。ただ、頑張ってる割にグッと惹きつけられるところがあまりなかった気がする。おそらく素材で勝負しているため、マニアにとっては楽しくて仕方ないが、知識のない人にはもうちょっと料理して展示してあげたほうがいい、ということなんじゃないか。あ、シミュレイターはゲイム性の低さと勉強に結びつける部分が明らかに問題。お金がかかってそうなのにもったいない。
とはいえ、ひと通り見て回ると、昼はとっくに過ぎていた。堪能したことは間違いないなと思いながら、昼食のため「ラァメン クック」に向かう。昼を大きく回っていたにもかかわらず、店内はほぼ満席。カウンターの先客に少し寄ってもらい、2人分の席を空けていただく。注文したのは「潮ラーメン」。美味し。ハマグリの出汁とバターの香りの塩ラーメンがなんとも優しく食欲をそそる。麺も細めで好みのタイプ。みるみるうちに完食。近所にあったらリピート間違いなし。ちなみにほかのお客は台湾和えそばの注文率が圧倒的。そして麺を食べ終わると、多くが追い飯を注文・投入。個人的に和えそばとか混ぜそばはあまり好きではないんだが、ここのなら食べてみてもいいかも……。
お腹が満たされたところで、午後のプログラムであるところのアクア・トトぎふへGo。こちらは初日に通って予想していたとおり、子ども達の姿が多く、その間を縫うように鑑賞していく。世界最大級の淡水魚水族館という触れ込みに恥じないスケイルと、工夫をこらし、楽しませようとする展示。落ち着いて見られれば興味深かろうと思われたんだが、なにせ夏休みの子ども達の元気はすごい(笑)。小走りで動きまわり叫び回り、存分に楽しむ。もちろん主人公は彼ら彼女らなので、邪魔にならないよう遠慮しながら見て歩いていると、興味を満足させるには物足りないまま出口まで辿り着いてしまった。まあこれは仕方ない。
といったところで、時間は夕方に近づく。この日はホテルを取っていなかったので、ネットで探したコンフォートホテル岐阜を予約しチェックイン。――したところでまたもやすごい雨。音もすごいし、高層ホテルの窓からくっきりと雨の範囲が見えるほど。幸運に感謝しながらしばらく休む。
雨もほぼ上がった頃を見計らい、土産物を探しに岐阜駅周辺へ繰り出す。が、なんというかこれといった土産物屋がない。まったくないわけではないんだが、ちょっと物足りない。高山や下呂のほうがあったなあと後悔しつつ、翌日のS.A.に期待を寄せる。高島屋あたりまで行ってみたらよかったのかもしれないけど、同行Aにまだ登山のダメージが残っているようだったので、夕食に向かうことにする。
夕食は真のナポリピッツァ協会認定店の「ダ アチュ」。岐阜駅すぐにあるトラットリア・ピッツェリアらしい佇まいの店は、訪問時ほぼ満席。小さなテーブルに高いスツールの席が空いていたのでそちらに陣取り、マルゲリータと魚介のパスタを注文。席から調理の様子を眺めながら待つことしばし、まずピザが届く。基本のマルゲリータだが、トマトの旨味、生地の味ともに良好。続いて配膳されたパスタもタッリアテッレというんだろうか、平麺でもちっとした食感で美味しい。味としてはよかったんだが、席が落ち着かないこともあり、追加注文することもなくそこで退店。また、以前食した名古屋にある真のナポリピッツァ協会認定店のコスパにくらべ、こちらのお店の価格がまずまずだったということもある。
そのままホテルまで帰り就寝。
8/3(水)
最終日。朝食はホテルで。アメリカナイズされたビュッフェかと思っていたが、意外にもおにぎりなどもありちょっとうれしい誤算。腹ごしらえを済ませたあとは、いつもより少し早く出発。目的地は揖斐川町にある天空の遊歩道。
車を走らせていると、徐々に田舎道の風情に。そして道の傾斜が急になっていったかと思うと茶畑が広がり、駐車場(といっても少し広い道端だけど)に辿り着く。そこにはひとり案内の方がおり、場所の案内をしてもらった後、景観協力金を募金箱に入れ、目的地へ歩き出す。
絶景ポイントまで徒歩20分と聞いていたが、舗装路とはいえいきなりの急坂。駐車場入口にご自由にお使い下さいとの杖が置いてあったが、さもありなん。しばらく高度を稼ぐと、地道に入る。ちょっとした登山道。ごくごく普通のスニーカーで来たが、これはたしかにトレッキングシューズで来てもよいレヴェル。汗をふきながら登り、視界が開けると、そこは「西美濃のマチュピチュ」。なるほど、たしかに美しい。
景色を楽しんだあと、足を滑らさないよう気をつけながら下る。途中、烏帽子岩という標識があったのでそちらにも寄ってみる。……うん、まあ、烏帽子と言われれば……烏帽子かも??
駐車場に下りたところで案内の方が名産のお茶を振る舞い、秋の紅葉の頃や新茶の頃の写真も見せてくれる。四季折々の風景が美しい。一休みしたところで、最後の目的地、養老天命反転地に向かう。
ここは体験型アート作品で、不整地に迷路のような建物が歪に建てられている。それらは実際の家、生活空間を模しており、バランスを崩しながら歩きまわることで、日常と非日常の狭間の不思議を体感できる――というのがコンセプトということでいいんだろうか。焼岳とアスレチックを踏破してきた我々のバランスを崩すには至らず、ちょっと歩きにくい建物レヴェル。まあ子ども達が転びながら探検するのは楽しいんじゃないだろうか(実際にそういう家族連れもいた。意外だったのは若い人も結構見かけたこと。自分たちを棚に上げるけど、なんで来てるんだろうな?)。とはいえ、ひりつくような熱さの中、老朽化が進みつつあるヘンな建造物が立ち並ぶ公園を散歩するのはなかなかオツなものである。
散策も十分楽しんだので、駐車場を出発。途中見つけていた飛騨牛精肉店の丸明に立ち寄り土産を買い(なお、A5のサーロインとランプを買い、帰宅後食したが、キッチン飛騨で食べた飛騨牛とは異なり、一般的なA5クラスを上回る脂分だった)、養老S.A.に一般道から入る。ここでも土産物を見て、軽く食事を摂る。
帰路は俺の時間都合上、下道で。のんびりと湖岸道路を走り帰宅。
そもそも2人で予定していた旅がひょんなことから3人旅となり昨年まで続いていたが、今年からは2人旅となった。なにか変わるのかなと思っていたが、意外なほど変わらなかったように感じた。また、恒例の登山もとうとう北アルプスにまで足を踏み入れることとなった。いろいろと変化・進化はしていくが、これからも楽しみたい。