「どう旅」メンバーのIと5度めのトレッキングは伊吹山夜間登山。
前回の登山時にお世話になった駐車場に(事前連絡のしておいて)停めさせてもらい、登山開始。……と思ったら登山口に1人の男性が座っている。登るなら同行させてもらいたいと声をかけてきたその人は中国からの留学生で大阪在住のTさん。話を聞くと、山麓の宿に泊まって早朝登ろうと思って来たところ、予約がないと宿泊できないと断られたそうで、それならと登りはじめたら「クマ注意」の看板を見て心配になり、登山口で途方にくれていたとのこと。
夜間登山も伊吹山も初めてだというTさんに、こちらも夜間登山は初めてだがそれでもよければと話した上で同行することに。
1合目までの樹林帯はぬかるんでおり滑りやすい。が、心配していた暗さは3人分のヘッドライトで想像以上に明るく、その意味での危険はまったく感じない。
さすがに他に登山者はいないかと思っていたが、男女のペアが1組、後ろからついてくる。こちらの速度が遅いのでだんだん近づくが、ある程度の距離になると止まるところを見るに、斥候として扱われているようだ。
そんなこんなで3合目まで登るが、そこでIから体力的に相当厳しいという残念なお知らせ。仮眠が十分に取れなかったことによる睡眠不足由来のものだと思われる。たしかに俺も4時間ほど仮眠したかったんだけど、結局2時間ほどしか眠れず、なんとなく身体が重い。ともあれ、しばらく休んで、様子を見るということになり、1人で先に進みますと話したTさんとはここでお別れ。
30分ほど休み、多少の体力回復が見られたのでまた登りはじめたが、後ろから見ていても限界だと思われたので、5合目でテントを張り、Iには休んでもらうことにした。しかしまだ俺も使ってないテントの最初の使用者がよもやIになるとは思いもしなかった(笑)。
その後1人で眼下に広がる夜景を楽しみながら登っていると、6合目辺りだろうか、上に2つセットのヘッドライトが4組ほど見える。ああ、やっぱりほとんどの人は2人で行くんだ……とか考えてると、その中の2組がすごい速さで移動する。トレイルランでもしてるのか? と思ったら急に「ピュイッ!」というような鳴き声がして、4組のヘッドライトがあっという間に散り、そこでようやく鹿だったんだと気づく(笑)。
そんな夜のイヴェントも楽しみつつ8合目を過ぎた頃から大量のガスがかかり、みるみるうちに眼下の街の灯は見えなくなり、視界も数mにまで短くなる。登ったことがある山で、なおかつ一本道だということが判っているから進めたものの、そうでなければ立ち往生するぐらいの勢い。
慎重な足取りを崩さないよう歩いて山頂にたどり着く。ご来光を見るポジションを探そうかと思ったけど、ガスが強すぎ、危険なので断念。売店の近くでバックパックを下ろしたらぐっしょりと湿っている。ガスすげえ。夜明け前で風も出てきており、体感温度はかなり低い。ソフトシェルにダウンを着てちょうど。当初の予定では、ご来光までテントを張って待とうと考えてたけど、テントは5合目。ベンチに座ろうかと思ったけど、これもぐっしょり。シートなんかもやっぱり5合目。仕方なく濡れていない軒下の地面に座り、しばし休息。
夜明けが近づくにつれ、ガスが晴れてくる。ご来光が見えそうなポジションに移動するが、雲が多く、日の出は拝めそうにない。が、徐々に空が明るみ、雲の色が変わっていく。ぼんやりと山の輪郭が見え始め、ゆっくりと雲が山を越していく様子は非情に美しい。山頂で日の出を見たいと思う人が多いのがようやく判った気がした。
結局、日が出てくるところは見られず、十分に日が昇った(と思われる)ところで下山を開始。
(余談ながら、男女のペアも雨具を着てフードもかぶりつつご来光を待っていたんだけど、寒い寒いと話していた。それなりの防寒装備は必須。当たり前だけど)
この前からやっているように足指にテイピングをしての下山だけど、非情に調子がよく、痛みがほとんどない。快調に飛ばし、もうすぐ6合目というところで、Tさんが下から登ってくる。驚いて話してみると、あのあと6合目まで登って避難小屋のところで寝ていたらしい。声をかけて別れ、テントのある5合目へ。
5合目に着き、テントのIに声をかけると、多少は眠れ、それなりに体力は回復したとのことなので、朝食を食べてからさらに下る。
そこからは大量の登山者が来るわ来るわ。挨拶してるうちに気づいたが、週末の登山者は素人っぽい人も多い。なるほど。
最後に今回の総括。
- 夜間登山について、暗さはそれほど問題にはならない。
- が、睡眠不足は大問題。通常と違うスケジュールに身体を合わせるのが難しいことに留意。
- だいぶ登れるようになったと思っていたIがここ2回の登山で思わぬ失速。いろいろと考える必要あり。