『おおかみこどもの雨と雪』との比較、という意味合いもあって見に行った。
ストーリィは個を重視するメリダと公を重視する王妃の相克を主軸として進む。これまたいつものように、どこの世界でも通じる普遍的なテーマを持ってきて誰にとっても興味深く見ることができる。
でもって結論としては、メリダは自分のことばかりじゃなくて王国のことも考えなくっちゃといい、王妃は伝統の軛を破ることも必要だと歩み寄る。
まあそれはいいでしょ。落とし所として無難に収めるにはそんな感じになるだろうし。問題は、このストーリィの見どころが、当然それぞれの主張がどのように昇華されるかってところのはずなのに、1番肝心なその過程が弱いこと。
描写がないわけではないんだよ。たとえばメリダは自分が花婿選びでほかの首長の顔に泥を塗ったことで戦争が起こりそうになったことを反省したとか、王妃は自然のなかで活き活きと振る舞うメリダを見て、自分がいかにメリダを枠にはめて苦しめてたかを感じたとか、まあ見て取れることはある。
けど、ここはテーマに直結する部分なんだからもっと力を入れて描いてほしかった。薄ぼんやりとした感じでどうもドラマ性に欠けて消化不良だった感が否めない。そのせいで分かり合えた感動もいまいち……。
まあアニメーションは、ピクサーならではの質の高さで楽しい部分も多かったから、見る価値なしとは言わないけど、ちょっと残念な出来だったかなあ。