『人はなぜ恋に落ちるのか?―恋と愛情と性欲の脳科学』ヘレン・フィッシャー(ソニーマガジンズ)読了

いきなりだが引用。

 こうした発見に刺激され、わたしはさらに幅広い考えを抱くようになった――恋愛感情はおもに脳内の動機システムであり、それは要するに、人間の根本的な交配衝動だと信じるにいたったのである。(p.126)

本書では、このことの傍証として、さまざまな実験や動物観察の結果を示し、ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリンなどが恋愛に大きな役割を果たしているというような主張をするわけだけど、ま、そのあたりはいい。脳の研究は緒についたと言えるかどうかの段階だし。

ただ、人間が動物であり生物である以上、これは自明のことだろう。人間の脳だって、その働きは化学反応「に過ぎない」のに、どうも特別視したがる人がいるのに首を傾げる。自分が1個のシステムであるということに対して自我の不安を覚えるからなんだろうか? そういった不安への回答も少々長いが本書から引用する。

 ただひとつだけ、たしかなことがある。科学者たちが脳内の地図をどれほど正確に描き、恋愛の生物学を解明したとしても、この情熱の神秘と高揚感が損なわれることはありえない。これは自分の経験からいうことだ。
 人に、恋愛にかんする知識が個人的な生活にどう影響をおよぼしたのか、聞かれることがある。そう、たしかに知識は増えた。それに理由は自分でもよくわからないが、前より安心感が増したように思う。自分がこんなにあれこれ感じてしまうのはどうしてなのか、前よりわかるようになったからだ。周囲の人たちの行動も、ある程度は予測できるようになった。それに自分や他人に対処するための道具をいくつか手にすることもできた。
 しかし恋愛を理解したからといって、感じかたまで変わったわけではない。ベートーベンの第九の楽譜をすべて知っていたとしても、それを耳にするごとにおぼえる興奮が変わらないのと同じだ。レンブラントが絵の具をどう混ぜ、どう塗ったかについて正確にわかっていたとしても、彼の肖像画を目にすれば、全人類にたいする圧倒的な共感をおぼえずにはいられないのと同じ。恋愛にたいする知識に関係なく、わたしたちはみな、恋の魔法を感じるようにできているのだ。(pp.339-340)

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