『錯覚の科学』クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ(文藝春秋)読了

  • 人間の注意力はまったくあてにならない。注意を払っているもの以外は信じられないレヴェルで見落とすことがある。
  • 人間の記憶はまったくあてにならない。ついさっきのことを正確に思い出せなかったり、簡単に記憶を捏造したりする。
  • 人間の自信はまったくあてにならない。自信を持った証言や判断はしばしば誤っている。なお、実力の低いチェスプレイヤーほど自分の実力を過大評価する!
  • 人間の知識はまったくあてにならない。正しく判っていると思っていることを実は驚くほど判っていない。
  • 人間の原因推理は驚くほどあてにならない。偶然・相関関係・因果関係についての混乱が甚だしく、俗説・デマゴーグ・陰謀論にすぐ騙される。

人間の錯覚・思い込みをこれでもかというぐらいに指摘しており、まことに胸のすくような内容だった。

人間である以上、本書で述べられているような錯覚から完全に自由になることは難しいが、それがある、と判っていれば、落とし穴を避けられるケースもあるだろう。こういうことこそ学校でも教えるべきだし、マスコミもこういう視点を持って報道をすべき。

が、残念ながらこういう視点から話をすると、一般的には煙たがられるだけという悲しい事実もある。利己的に行動するならば、人間の錯覚する「習性」を利用して、他人より優位に立つことは可能だが(自信がなくても堂々と自信を持った「フリ」で面接を受けるとか。みんなしてるでしょ?)、バカは騙してもいいだろうという考え方は、個人的には好きではない。

まあ少なくとも「錯覚」から逃れるために読んでおくべき本だ。

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